Vietnam Investment Review

コロナ禍がもたらした健康危機によって中断されたバリューチェーン。今その再開と拡大を目的としたM&A(合併・買収)に企業が乗り出している。

10月15日、Vietnam Investment ReviewとNovaGroupは、ハノイとホーチミンの2ヶ所でバーチャルセミナー「パンデミック下のM&A、バリューチェーンの拡大へ」を開催した。

新型コロナウイルス感染症パンデミックの影響が世界中に及んでから2年が経過した。世界経済の減速は、世界最大の経済大国や最強の企業をも揺るがしている。

ベトナムもまた、世界経済に深く溶け込んでいる国として、社会的にも経済的にも生活のあらゆる側面に影響が及び、多くの課題に直面している。

この状況下で、企業はパンデミックに対処しながらも、成長を図るというニューノーマルに徐々に適応し始めている。すでに強固なエコシステムを構築している多くの企業は、発展の機会、さらには画期的な成果を手にすることができた。今回のパンデミックは、企業が躍進するためにはパートナーと協働すべきだということを改めて証明したことになる。こうした状況では、M&Aは信頼できる仲間を見つけるための最も効果的なソリューションとなる。

オープニングの挨拶で、VIRの編集長であるLe Trong Minh氏は、苦境から生まれるチャンスということを強く掲げた。

M&Aにより、各当事者は利益を獲得し、目標に向かって、より強く、より大きく成長することができる。「パンデミックがいつ終息して、再発するのか、またこの後にどんな危機がおとずれるのか、確かなことは何も言えませんが、どの企業も発展の道を模索しています。」と述べた後、明るい兆しを見出せるかどうかに、企業の知性と強さが真にためされていると言い添えた。「その方法を見つけた企業が優位に立つことになるでしょう。」

また氏は、ベトナムの大企業はこの2年間、パンデミック対策をリードしているだけでなく、M&Aによる組織改編、エコシステムの拡大、バリューチェーンの構築など、最もダイナミックな活動を行っていることにも言及している。

このセミナーでは、NovaGroupの成功例がとりあげられた。「NovaGroupは、自社拡大のために一瞬たりとも立ち止まったことはありませんでしたが、それぞれのM&A案件の成功は、先見性を持った慎重な検討によるものなのです。」とMinh氏は評した。

これまで、M&Aは外国人投資家がベトナム市場に参入する際に好ましいチャネルとされてきた。しかし現在のニューノーマルにおいては、国内企業が急速に成長するための手段にもなっている。同時に、地元企業がチャンスとみてグローバル市場に飛び込み、コングロマリットに成長するためには、より好ましい制度改革や政策も求められる。M&Aは、こうした意気込みを実現するための開かれた舞台となっているのだ。

従来のM&Aは、海外の投資家が買い手側、国内企業が売り手側となり、所謂「餌食」になることが多かった。

今、この状況は様変わりした。一連のベトナム企業は、一転して「狩人」となり、アジアや世界への進出を目指している。国会経済委員会の常任委員であるPhan Duc Hieu氏は次のように述べている。

地元の復興力は、優れた企業によって支えられています。地元企業は、国内外の市場で競争力を高めようとしているのです。多くのベトナム企業が海外でのM&Aを積極的に行っていますが、それは非常に賢明なこととして受け止めています。

専門家によると、ベトナム企業は以前からM&Aを強化するための準備を怠らなかった。その戦略を支えるためにプロのチームを雇うなどして、その結果大きな価値を生み出している。資本を呼び込み、適切な投資対象を特定するための努力がなされてきたのだ。

ベトナム経済研究所の前所長であるTran Dinh Thien氏は、M&Aは国内企業が事業を再構築し、より強く成長するための最良の方法の一つであると述べている。「危機の混乱が去った後は、企業にとっては絶好のチャンスです。しかし、パートナー候補を慎重に検討し、すべてのステークホルダーの利益のためにそれぞれの利点をどのように活用するかを思案しなければなりません。」とThien氏は助言する。

今回のセミナーでは、「パンデミック下のM&A、 バリューチェーンの拡大へ」をテーマに、ディールメーカーや専門家から、Win-Winの取引を実現し、バリューチェーンを成長させるための友好的かつ効果的なM&Aについての見解が示された。セミナーでは、「リスクをチャンスに変えるーベトナム企業への門戸開放」と、「NovaGroup、M&Aー発展のためのシナジー」と題した2つのセッションが行われた。企業の再構築、エコシステムの拡大、バリューチェーンの構築の機会から、パンデミック後のNovaGroupの戦略と方向性、持続可能なシナジーまで、参加者によって議論が交わされた。