計画Vietnam Investment Reviewが主催、ベトナム計画投資省が後援する、バーチャルフォーラム「Digital Transformation – Accelerating Growth and Innovation with 5G(DX:5Gで加速する成長とイノベーション)」が12月14日午前に開催された。同セミナーではDX(デジタルトランスフォーメーション)の動向、経済成長とイノベーションにおける5Gの役割や5Gの商用普及促進政策、諸外国のDX成功事例などが紹介された。

計画投資省副大臣のVo Thanh Thong氏によると、インダストリー4.0が経済や生活などに大きな影響を与え、国や組織、個人にとってより多くのチャンスをもたらすと同時に課題も生じているという。
Thong氏は、同フォーラムで、「ベトナム政府は、インダストリー4.0へ積極的に参加し、成長モデルの刷新と経済の再構築を加速させ、科学技術、イノベーション、高いスキルを持つ人材に支えられた、より活発で持続可能な開発のための政策とプログラムを構築するための方向性を示しました。」とベトナムのインダストリー4.0に対する姿勢を述べた。
さらに、「5Gは第4次産業革命の基礎となるものです。5Gモバイルネットワークの商用化と5Gモバイルブロードバンドネットワークサービスの普及は、2030年に向けた第4次産業革命に関する国家戦略で設定された目標の一つです。」と付け加えた。
Vietnam Investment Reviewの編集長であるLe Trong Minh氏は、「第4次産業革命は多くの機会が生まれると同時に、新たに課題も発生すると考えています。経済やビジネス、生活などのあらゆる分野にますます大きな影響を与えています。」と第4次産業革命の影響を強調した。

第4次産業革命の世界的な広がりにより、データやデジタル技術は、ベトナムの生活やビジネスなどあらゆる側面を変えるために積極的に活用されています。DXプロセスは、経済成長に欠かせない柱の一つとして認識されており、労働生産性を高め、新たな成長分野を創出し、DXプロセスの初期段階でベトナムが飛躍的な発展を遂げ、先進国に素早く追いつくための大きなチャンスとなっています。
「終盤を迎えつつあるDXや5Gに関する法整備と、企業や人々のDXの必要性に対する意識の高まりという2要因が強力に後押しをする5Gは、ベトナムで発展し、今後数年間でイノベーションと成長のためのプラットフォームとなる強い可能性を秘めています」とMing氏は述べた。
このフォーラムには、計画投資省や情報通信省などの省庁や政策担当者、Enterprise Singaporeなどの国際機関、在ベトナム欧州商工会議所やシンガポールビジネスアソシエーション・ベトナムなどのベトナムにある国際的な経済団体の他、国内のハイテク企業が参加した。
政府の監督機関の代表者、政策立案者、国際機関や国内外の大手テクノロジー企業の専門家などが、DXの動向、経済成長とイノベーションにおける5Gの役割、5G商用化を促す政策、他国のDXの成功事例など、実践的なケーススタディの紹介が行われた。
世界的にデジタル経済は急速に成長しており、ベトナムでは、2021年度のデジタル経済は、2020年度と比較して31%増の210億ドル規模に達すると予想されており、インドネシアとタイに続き、マレーシアと同等の規模になると見込まれている。
第13回党大会の文書には、2025年にはデジタル経済がGDPの20%、2030年には30%程度を占めるという目標も示されている。
専門家によると、ベトナムはデジタル経済成長の土壌が整っているという。さらに、Apple、 Samsung、Ericsson、 ABB、 Qualcommなど世界中の多くの大手IT・スマートテクノロジー企業がベトナムに進出している。

5Gは世界中のビジネスに変革をもたらしています。消費者向けの商用5Gネットワークはすでに世界中で利用され始めていますが、次の5Gの波は、より広範囲のビジネス分野に強化されたモビリティ、柔軟性、信頼性、セキュリティなどのメリットをもたらすでしょう。5Gを活用したビジネスが中心となる時代が到来することに伴い、サービスプロバイダーには全く新しい可能性が広がっています。
5Gは、経済界を含むや社会全体のほぼすべての分野のデジタル変革を加速させる可能性を秘めています。ベトナムの社会的・経済的発展の次なる波は、データを通じたデジタル経済を原動力とするイノベーションや科学技術から生まれるでしょう。データは、インターネットとデジタル経済という成長のエンジンに供給する「燃料」に相当するでしょう。そして、その5Gは、重要な国家インフラとしての役割を果たし、5Gのネットワーク上で実行されるアプリケーションは、消費者、経済界ひいては社会全体に大きな価値をもたらすと確信しています。

当委員会のメンバーはデジタル分野のビジネスに従事しており、金融サービス、教育、スマートシティプロジェクトなどの分野でDXのアドバイザリーサービスを提供するなど、様々な形でベトナムのDXに参画してきました。当委員会のメンバーは、ベトナムのDXの成長・発展に注目し続けています。
5Gがデジタルの根本的な変革に貢献したことは明らかです。世界はデジタル時代に向けて大きくシフトしていますが、ベトナムもその流れに乗っています。ヨーロッパ商工会議所、デジタルセクター委員会のメンバーは、デジタル専門家、起業家、投資家としての専門知識とノウハウを共有し、ベトナムの将来にわたって、持続的な成長のための最適な政策の立案と技術の活用のために、ベトナム政府とともに協力してまいります。

私たちのシンガポール国内の中小企業支援を通して得た経験をベトナムでも活用したいと考えています。Enterprise Singaporeと計画投資省傘下のAED(企業開発局)との緊密な連携のもと、DXを共同で進めることができることを嬉しく思います。
コロナ禍にもかかわらず、私たちは4月にオンライン上でラウンドテーブルを開催し、中小企業のDXに関する意見交換を行いました。その後、6月24日には、製造業のDXと業種別ロードマップの重要性に関するウェビナーを開催しました。
今後、政府間での協業はもちろんのこと、両国の民間企業によるソリューションが増えることを期待しています。このコロナという状況を最大限に活用し、より多くの中小企業がデジタルソリューションを採用し、新たなビジネスチャンスを獲得し、ニューノーマルに適応できるようにしていきましょう。

DXは、単にITを活用するだけではなく、考え方や認識、ビジネスや組織の運営方法を完全に変えるまでが含まれていると思います。したがって、私たちのような監督機関も、より適切なメカニズムやポリシーを持つために認識を変える必要があります。テクノロジーやシステムの利用だけでなく、プロセスを変え、長期的にテクノロジーを効果的に活用する方法を見つけることを目指すべきです。
また、DXの実施には、長期的なビジョンが欠かせません。ベトナム計画投資省はアメリカ合衆国国際開発庁と共同で100社の企業に対し、効果的なデジタル化に関するノウハウを提供するプロジェクトを実施しています。情報のデジタル化にとどまらず、ビジネスを運営・管理するプロセスをデータベースの活用と分析に基づいて再構築することが重要です。

2021年、新型コロナウイルス感染症が猛威を振るう中、世界中のモバイルネットワーク通信事業者は、顧客のニーズを満たすため、5Gネットワークの展開を続け、高品質なサービスを提供してきました。GSA(Global Mobile Suppliers Association)によると、現在、5Gネットワークを商業利用している事業者は、72の国の・地域で180社以上に上るといわれています。
ベトナム情報通信省は、ベトナムの通信、特に5Gネットワークなどの通信インフラを含む、最先端技術の開発・利用を先進国と同等の水準にすることを目的に掲げており、モバイルネットワーク通信事業者や企業に対して指針を示しました。具体的に、情報通信省は、2022年に5Gの商用化を正式に許可するという目標を掲げており、近いうちにハイテク工業団地や需要の高い地域をカバーされる予定です。これは、ベトナムを5G先進国と同等の水準にするという目標に対する、同省の取り組む姿勢を示しています。今後、同省は、通信事業者や企業との調整を行い、早急に5Gネットワークの実験結果をまとめ、評価を進める予定です。さらに、カバー率や品質基準、インフラの共有に関するソリューション開発を進め、投資コストの削減、利用効率の向上、メイド・イン・ベトナムの機器の使用など我が国の5G技術の成長、発展を目指します。