財務の健全性を高め、世界へ向けてブランド発信するために、海外の取引所へ株式公開を予定するベトナム大手コングロマリット。しかし、その実態となると「言うは易し行うは難しい」と言ったところだろう。

Vingroupの自動車部門、VinFastは米国証券取引委員会に新規株式公開(IPO)登録を申請したが、資金投入の最終判断はまだ先となる。
同国の電気自動車(EV)メーカーは、今年後半に予定されている米国での上場に向け、アドバイザーらの協力を得て準備を着々と進めている。
ブルームバーグは、VinFastはIPOで20億ドル近くを調達することになると伝えた。姉妹会社となる不動産デベロッパーVinhomes JSCが2018年に行った14億ドルの初回株式売却を上回り、ベトナム企業史上最大規模となると同紙は予測している。これが成功すれば、ニューヨーク証券取引所に上場する数少ないベトナム企業の1つとなるだろう。
この動きは、早ければ2024年にもノースカロライナ州にEV製造施設を建設する準備に同社が着手していることによる。米国で計画が進む複合施設の第一フェーズには推定60億ドルの投資が行われている。
先月末、VinFastは米国でのIPOに向けて約5-10億ドルの資金調達を検討したことが報じられた。
VingroupのLe Thi Thu Thuy副会長は昨年11月のインタビューで、IPOが成功すれば、自動車メーカーの市場価値を約250億〜600億ドル強化することができると語った。
VCI LegalのパートナーでBanking and Capital Markets部門の責任者でもあるKent Wong氏はVietnam Investment Review紙に向けて、次の通りコメントした。
VinFastが特別目的買収会社(SPAC)ではなく従来のIPOルートを選択したことは特筆すべきことです。彼らの計画は非常に野心的であり、原油価格の高騰や消費者動向を考えると、絶妙のタイミングと言えます。
懸念材料としては、トップラインで十分な収益を上げられるかどうかという点だという。そしてさらに、テスラやゼネラルモーターズ、その他のEV新興企業など、既存のプレイヤーとの熾烈な競争も激化している点を付け足した。
同じくベトナムの大手コングロマリットであるMasan社も、投資家コンソーシアムから3億5千万ドルの追加資金を得た。それにより、2023年から2024年にかけて消費財小売事業The CrownXの海外上場でグローバルに資金調達を行う意向を示している。
「このグループは、TPG、アブダビ投資庁の完全子会社であるPlatinum Orchid、 Temasek傘下のSeaTown Master Fundなど、世界的に有名なプライベートエクイティ企業で構成されているのです。」と同社の担当者は説明する。
ベトナム最大の小売企業であるCrownXは、2019年にVingroupの小売部門とハイテクファーム、Masanの食品・飲料部門が統合して設立された。
The CrownXの投資後価値は82億ドル(1株105ドル)が妥当というのがMasanの見立てである。81.4%の株式を保有するMasanが小売部門をコントロールしていくことになる。
昨年12月、ベトナムのハイテク大企業VNGも、米国での上場に向けて追加資金を模索していた。このユニコーンスタートアップは、既存を始め新規の支援者から2-3億ドルの資金調達を試みている。
同社は海外の巨額資金を活用するために、SPACルートでの米国での海外上場を検討していた。
昨年11月にAIAが主導したシリーズEでEコマース大手Tikiは、2億5,800万ドルを調達した。同社は米国IPO構想が2025年の予想よりも早く実現する可能性に言及している。しかし、白紙委任された会社の合併がIPOにつながるかどうかは不透明なままだ。TikiのCEOであるTran Ngoc Thai Son氏は先日、同社の価値が現在約10億ドルに達していることを明らかにした。
Tikiのような主要ベトナム企業が米国で成功することにより、発展途上のベトナム IT 産業界への外国からの投資が促進されるかもしれない。
昨年、FLCグループ傘下のBamboo Airwaysは、近い将来、米国でIPOによる資金調達を計画していることを明らかにした。しかし、FLCの前会長が関与した市場操作疑惑が、Bamboo Airwaysの海外上場の状況を複雑にする惧れがある。
米国上場以外でも、シンガポール証券取引所(SGX)は世界の証券取引の最前線にあり、ワールドクラスなコネクティビティにより、自国の地域を超えて海外の発行者からも関心を集めている。トレーダーはより多くのアクセスと幅広い資本プールを利用することができるようになっている。ホーチミンを拠点とする資産運用ファンド、VinaCapitalは、SGXでのSPAC方式によるポテンシャル1億8,300万ドルのIPOに向けてアドバイザーと提携したことが報じられた。
【Growtheater登録関連企業】
ベトナムの上場証券企業のマージン・レンディング事業拡大を目的にした資金調達